活動記録

2014/06/20 コンソーシアム都留のキックオフミーティング参加
地球環境未来都市研究会「コンソーシアム都留」設置の趣旨
 
2012年5月に都留市の地域振興と横浜国立大学の研究教育を目的に、上下流連携をベースとした域学連携の包括協定を締結。同年7月には地球環境問題に対応できる環境未来都市づくりを目指して、産官学コンソーシアム「地球環境未来都市研究会」を設立。富士山から東京湾までの水道で結ばれた水の共同利用圏域である神奈川拡大流域圏を活動フィールドとし、都留市は上流水源域、横浜市は下流大都市域の連携拠点と位置付けられます。
 2012年度後半には、都留市・横浜国立大学共同で「スマートコミュニティ思想」を策定。産官学民によるスマートコミュニティ・コンソーシアムを提案し、都留市は2013年度にそのための準備会を設置いたしました。
 横浜国立大学は地域密着型の研究教育活動を展開し、研究会の都留市での活動を本格化するため、研究会会員と都留市内関係者による産官学民の「コンソーシアム都留」を地球環境未来都市研究会に設置することにいたしました。会員は幹事10者(都留市・横浜市・神奈川県・日立製作所・東京ガス・大成建設・ESRIJapan・東京大学・海洋研究開発機構・横浜国立大学)他で構成され、今般は都留市域を中心とした産官学民のメンバーを加えて地球環境未来都市研究会コンソーシアム都留を構成することとなります。
 6月13日には「コンソーシアム都留」のキックオフ・ミーティングを開催。1ヶ月程度の準備期間に事業計画検討と会員拡大・体制整備を図り、その後本格的な稼働予定。
 文部科学省のJST・RISTEX新領域研究公募「持続可能な多世代共創社会システム」への応募申請を念頭に、その準備を進めます。この事業の前提は地域内外のマルチステイクホルダーの多主体での実施であり、研究会では都留市をフィールドに「コンソーシアム都留」を多主体と想定し、申請を予定しています。
 
 

 
コンソーシアム都留の役割
 
都留市の位置づけ~地球環境と流域の視点から
地球環境未来都市研究会において、都留市は地球環境問題に対応し緩和適応策を先進的に実現した地球環境未来都市の小都市モデルを目指すフィールドと位置付けられ、世界の小都市におけるフロンティアモデルを実現することで、世界への貢献を目的としています。
 また研究会は、富士山から東京湾までの神奈川拡大流域圏を基本的なフィールドとしており、大都市モデルとして横浜市を位置づけています。横浜市は山梨県に水源を依存しており、国際都市横浜を考える時、山梨を含む流域圏を横浜の水資源基盤として一体的に考慮していく必要があります。
 その意味で上流小都市も含め流域圏一体のものとしてグローバルスケールで考えていく必要があります。都留市と横浜市は上下流関係の意識が希薄で、双方の自治体・市民にほとんど認識されてこなかった経緯があります。すなわち、自然や風土に立脚して地球環境問題にアプローチしていくという視点が欠如してきたことが想像されます。国際都市横浜の活動が都留市をはじめとした流域の自然の営みに支えられていることが意識されずに地球環境問題が語られてきたことが元で、足元の生物多様性の劣化が地球環境問題と直結しているという認識を困難にしています。
 
幕末以来横浜の発展を支えて生きた桂川流域の自然
 明治20年(1887)に開始された横浜市水道は、相模川上流や道志川で取水してきて、赤道でも腐らない良質な船舶用水と評価され、桂川・相模川を主水源に戦後の高度経済成長を支えた。桂川流域は幕末開港以来の横浜港の主貿易品であった生糸・絹織物を供給する重要な「甲斐絹」の産地であった。そのため、国際貿易港としての横浜港は、桂川流域の水と絹という生態系供給サービスに支えられたものであった。特に都留市をはじめとした桂川流域では、緩やかな傾斜の里山のほとんどが桑畑となり、その上の急傾斜地は絹生産のための燃料となる薪炭林として過剰に利用されてきた。しかしその後、石油による燃料や繊維革命により薪炭と絹の産業は衰退し、都留の桑畑と薪炭林は放棄。スギ・ヒノキが植栽されたが大量輸入の海外材に管理が放棄されてしまい、森林は伐期を迎え荒廃と土壌流出のリスクを抱えている。すなわち水源域としての機能低下ということであり、鳥獣被害も顕在化してきた。都留市の森林は「森林飽和」状態でかつてない量的充足をしているが、管理伐採されて生物多様性という質が維持され、伐り出し利用されて海外材への依存が低下して地球規模での伐採過剰に歯止めがかかる。
 
流域ユニットで都留の未来を考える~科学的知見創出とITCによる情報共有
流域ユニットで地球環境問題に対応するために上下流連携して水全域に地球環境未来都市モデル都留を実現する。ということが地球環境未来都市研究会の目的である。日本のみならず人類社会が大きく転換しつつある時代、客観的科学的な知見と情報データに基づいて、地域の未来を考察し判断していくことが必須となってくる。知見情報を生み出し情報共有する仕組みとして、地域と大学研究機関と情報通信技術(ICT)との連携があり、それを連携する産官学連携体として組織されたのが地球環境未来都市研究会である。
 その仕組みを地域住民が主体となって活用し地域社会を創出していくには、産官学に地域住民が加わった産官学民連携が必要であり、都留市におけるそのような場が今回の「コンソーシアム都留」である。
 
コンソーシアム都留の進め方
基本コンセプトは地域住民と大学研究機関と情報通信技術(ICT)産業、課題関係者の協働による「多世代多主体共創」である。より心豊かに暮らすことができる「都留市」を見出し実現するための母体の一つとしてコンソーシアム都留が機能していくことが求められ、それが神奈川拡大流域圏の上下流連携で進められることが他にない優位性である。大きな時代転換期における小都市モデルの姿を見出すことから始めるため、まずは共創のルールや手法を模索して創り出し、多世代多主体共創の仕組として実践しながら作り上げ、都留地域で実装していくことである。
 
RISTEX(社会技術研究開発センター)新領域への応募申請について
RISTEXの新領域で「持続可能な多世代共創社会システム」という都留市での研究にマッチした課題が6月公募開始で出される。横浜国立大学と都留市の共同チャレンジとして、多世代共創の主体となるマルチステイクホルダーとして今回設置する「コンソーシアム都留」を想定していくことを検討してきた。今後1ヶ月程度をかけてメンバーで申請内容を詰め、横浜国立大学が代表として申請することとしたい。
 




【写真】横浜国立大学 地域実践教育研究センター長
    大学院 都市イノベーション研究院 佐土原教授 による
    「地球環境未来都市研究会」発表の様子

【写真】会場の様子


 
 【写真】(一社)森の循環推進協議会事務局 活動内容の報告

 
 【写真】キックオフミーティング後の懇親会の模様

 

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