活動記録

2014/02/27 三ツ沢共同住宅完成見学会・水源保全にかんする座談会に関して
2/19(水)に森の循環推進協議会の『三ツ沢共同住宅2期棟完成見学会』並びに、『水源保全にかんする座談会』が行われました。
今回はその様子をお伝えいたします。
 
 
■三ツ沢共同住宅2期棟 完成発表会■


1月末に、道志村の間伐材を使用した三ツ沢共同住宅2期棟が完成しました。
今回は完成した共同住宅を多くの方に見てもらうため見学会を行いました。
まだ寒さが残る中、約40名のお客様や行政、会員に参加して頂きました。

 

現地ではインテリジェンス・ネットワーク建築担当より木材産地の説明、越井木材工業より外壁やサッシの説明が行われました。
その後、3つの住戸の室内を見て、触って、体感して頂きました。
実際にフローリングや腰壁等に触れて頂き、多くの参加者から共同住宅に対する感想を頂きました。
お寒い中ご見学ありがとうございました。
 
 
■水源保全にかんする座談会■

 
会場を移しまして「水源保全にかんする座談会」を開催致しました。



1.森の循環推進協議会・菅沼会長 挨拶

『三ツ沢共同住宅の水源地の材料を利用するのは容易ではなく、林業・製材・乾燥・部材加工・運搬という流れが必要でありました。
施主様はじめ様々な業者の知恵や協力があったおかげで完成することができました。
数年前に道志村間伐材利用のために、4社が集まり現在では60弱が森の循環推進協議会・サポーター会の会員となっています。今後も会員と一緒に活動をしていき、より多くの方に認知して頂きたいです。
協議会の主旨の神奈川・横浜の水源保全に理解して頂き、水源地を守るために、「見てもらう」「触れてもらう」「使ってもらう」「そして伝えてもらう」を合言葉にてこの活動を広めていきたく思います。』
 
 
 
2.サポーター会会長・小松会長 挨拶

『神奈川の木材をどのような形で利用するかをサポーター会の理事会を通して考えてきました。
学習指導要項の改定が進み、中学校では武道が必修科目となりました。木材は衝撃を吸収する特性があるため、武道場に木材の活用をすることもできると思います。
実際に行動するためには、自治体の働きかけが必要となります。何ができるか考えながら、皆様にも協力をして頂きたいです。』
 
 
 
3.「あんしんドア」の実験結果 発表

横浜国立大学 中尾博士から「あんしんドア」の実験結果について発表がありました。
1週間前に実験結果が出たばかりということで、速報という形での発表です。
実験では、あんしんドアと普通のドアを変形していき、どのくらいの変形まで開閉ができるかを確認しました。
 
※「あんしんドア」とは、地震の際にドア枠が変形しても開閉することができるドアです。
今回の三ツ沢共同住宅2期棟のトイレにも使用しています。東京建具協同組合の特許を取得して頂き、山二建具で作成をしております。
 



主に下記の事項が発表されました。
 
・正面から見ると、普通のドアも安心ドアも変わらない。外観は全く同じ。
・ドアの断面が異なり、普通のドアは枠に対して真四角、あんしんドアは枠に対して円弧状である。
・あんしんドアは、地震でドアがゆがんでいても開閉できるということが特徴。
・測定器を使って、どれくらい変形があったか、またどのくらいの力で開け閉めしたか測定。
・実験の結果、「普通のドア」よりも「あんしんドア」の方が大きなひずみ(高さに対する水平の変異)でも開閉ができることが分かった。
 
 
 
4.提携先へ絵画の贈呈 

森の循環推進協議会の提携先である「栃木県集成材協業組合」「横浜国立大学中尾博士」
「東京建具協同組合」に絵画の贈呈が行われました。
 
今回贈呈した絵画の下地板や枠が、水源地・道志村のスギ材を利用しています。
三ツ沢共同住宅のような、間伐材の利用例もありますが、絵の下地にも利用することができます。
このような活用例があることも、皆様に知って頂きたく思い今回の贈呈に至りました。




森の循環推進協議会・菅沼会長、サポーター会・小松会長より贈呈されました。




 
「栃木県集成材協業組合 落合様」「横浜国立大学 中尾博士」「東京建具協同組合 佐藤様」よりご挨拶頂きました。
 
 

5.行政より水源保全に関して
水源保全にかんして各々の指針や政策、考え等を各行政に発表頂きました。
参加 : 林野庁林政部木材産業課
横浜市会議員
神奈川県知事秘書

 
◇林野庁林政部木材産業課◇

主に、木材利用ポイントや木材を適切に利用することへの重要性に関して話をして頂きました。
 
・林野庁は平成24年の補正予算として木材利用ポイントを行っている。
・木材利用ポイントとは、木造住宅を建てるか、外装内装に木材を利用すると、木材利用ポ
イントが発行される。それらを指定の商品等と交換できる制度である。
・木材利用ポイントの目的は適切に木材を利用してもらうこと。戦後の杉・檜が利用時期を迎えていて、これらを適切に利用することで山が良くなる。
・山が良くなると水源涵養機能が働き、土砂の阻止・気候変動の緩和へとつながる。
・山を維持するためにも、適切に木を使うことが大事であり、民間ベースで活動を行うことに意味がある。
・木材利用ポイントの利用が延長となり、木材利用ポイントは平成26年9月まで工事に着手したものが対象。是非皆様にも活用をしてもらいたい。
・木材の環境も川上から川下へと木材利用に関してみんなで取組むことが大事。
 


◇横浜市会議員 横山正人様◇

・横浜は明治以来、道志村と関係を持っていて、横浜市は村の水源涵養林85%をもっている。
・道志村は横浜の大切な水瓶であり、道志村からも横浜の飲み水が提供されている。
・水源涵養林の間伐を行った後は、間伐材は捨てていた。昨年から間伐材を道志村の温浴施設に利用してお湯を作っている。これを皮切りに間伐材を利用するようになった。
・現在は木材を建築材や内装材に使えないかと考えている。
横浜市では、公共建築物の内装材に木材を使用しようと検討している
特に新市庁舎の建設にあたり、エントランスを道志の間伐材を使用した木質化となるよう努力している。区役所の建替えでも具体的な話が出てきている。
・政令指定都市20都市(札幌から熊本まで)の大都市の議員が、川上~川下のから木材利用が推進できるようなネットワークを大切にしたい。
 


◇神奈川県知事 秘書様◇

三ツ沢共同住宅を見学して頂き、本日の感想を述べて頂きました。
・共同住宅を見学し、木材独特の暖かさがあり、高級感を感じた。
・ドアの安全の仕掛け等も初めて拝見して、大変すばらしいと感じた。
・県知事が就任してから、「水の里 かながわ」をアピールしてきた。これまでも神奈川の県土 40%占める森林の整備活動には力を入れてきた。これからもバックアップできるようにしていきたい。
 
 
 
6.意見交換・質疑応答

各々の行政の発表を聞いたあと、意見交換や質疑応答が行われました。
その内容の一部を紹介致します。
 
Q.森の循環推進協議会のような他の取組みを教えてほしい。
 
A.行政が主導ではあるが、港区の建物の内装を全国の自治体と協定して木材の受入れを行った。行政が支援できなくても木材の関係者が団結して木材利用をアピールしていくことが理想。
 
 
Q.森の循環推進協議会のような動きは他県とどのように違うのか?
 
A.このような動きは横浜が本家である。そもそも木材利用を都市部で進めようという発想自体が乏しい。森の循環推進協議会のような活動は他にないと思うので、アピールしていきたい。
                                            
 
Q. 公共・準公共物にどのような木質化の動きがあるのか?
 
A.平成22年に公共建築物等木材促進法という画期的な法律ができた。
平成25年が耐火建築物元年と言える程、建物の建築が増えてきた。
実際に地方自治体の施設の木造化が進んでいる。また準公共の建物だと、空港等のエントランスや保安検査場に木材が使われている。
他にも鉄道の駅舎の木造化や内装の木質化、鉄道車両内装の木質化、高速道路のサービスエリアにも木質化の動きが出てきている。
今年以降もその流れが加速するであろうと思う。
 
 
Q. 製材を扱っている立場から、今後の木材利用の難しさを聞きたい。
              
A.林野庁の木材利用ポイントなどの制度は感心する。
しかし、地方にまで上手に普及していないところがあると感じる。
人材もさることながら、木材を扱う業者が少なくなってきている。他県の協力を得るか、神奈川県の人材育成等を考えなければならない。
 
 
上記以外にも下記のような意見が出ました。
 
・材木を使用することが日本の美しい山川を守る、という世論の後押しや意識の啓発が必要。
 
・子供への教育として、木育活動の取り組みも行われつつある。小さな子供に木の大切さを伝えていくことが大事。
 
・神奈川県という範囲で考えると、木材の絶対量も少なく、人材・設備にも限界がある。県内という枠にとどまらず、流域や各地方で範囲を広げて切磋琢磨する必要がある。
 
・全国にある政令指定都市と連携し木質化の動きを進める。全国一斉だと時間がかかるので、まずは神奈川の政令指定都市等できるところから初めていくことが望ましい。
 



7.閉会の挨拶 森の循環推進協議会・越井理事

『この度は見学会・座談会へご出席頂き、ありがとうございました。
見学した共同住宅は、木材の温かみ・安らぎ、かっこよさを工夫した素晴らしい作品でした。木材には心の平安を与える効果があります。
神奈川県の木材や、流域の木材を利用することが、山への還元・共存の第一歩だと思います。これからもご指導ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。』
 
 
以上で、三ツ沢共同住宅完成見学会・水源保全にかんする座談会は終了となりました。
 
今回の座談会では会場が満席となる程の多くの方々に出席頂きました。
今後も川上~川下の流域にある行政・有識者・民間が一体となり連携活動を行いたく思います。
今回の貴重なご意見を、平成26年度以降の森の循環推進協議会・サポーター会の活動指針に反映をしていく予定です。
 
HPをご覧の皆様にも、まずは私たちの活動を知って頂き、関心をもって頂けたら幸いです。
 
 
森の循環推進協議会・サポーター会は水源地保全や森の資源活用のため、今後も民間レベルにて継続的に活動をしていきます!!
 
次回の森の循環推進協議会・サポーター会のイベントは、6月11日に「26年度定時総会・1周年記念パネルディスカッション」を行う予定です。
詳細が決まりましたら改めてご案内致します。
 
最後までご覧頂きまして、ありがとうございました。

神奈川県立スポーツ会館
 
森の循環推進協議会 事務局
 
 
              

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